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戸惑いながら返って来た声にたまらなく愛しさがこみ上げた。
会いたい。
今すぐ会って……もう一度、君と交わり合いたい。
もう誰にも渡さなくていいように……。
壊れるまで君を抱きしめたい。
そんな思いが増殖して行くだけで、俺自身が壊れそうになる。
だから俺はあの走り書きを見つめながら彼女に言い放った。
「じゃ、明後日の夜に借りに行く。また連絡する」
「……うん」
嗚咽してしまいそうで慌てて電話を切り、走り書きの文字に額をつける。
『罪の赦しには必ず代償が伴うことを忘れるな』
ヒメムラサキの丘で交わした約束を破った俺に、神が最後に下す代償が、たとえこの命であっても。
それで小雪が幸せになれるのなら……この命だってくれてやる。
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