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Act.22 #2
やがて迎えに行った兄と一緒に戻って来た龍都さんが津川さんに言い聞かせた。
「津川さん、心配しないで。蓮都は大丈夫だから」
「え?」
「あなたを残してアイツは死んだりしない。そんな軟なヤツじゃないから」
その会話を聞きながら私はまたとてつもない罪の呵責に潰れそうになった。
こんなにも蓮都を愛している津川さんと、彼女と蓮都のことを大切に思う龍都さん、そして歩さん。
みんなをこうして騙してまで、私はこのお腹の子供を優先してしまっていいのだろうか。
やっぱり……私は大きな間違いを犯している。
それが分かっているのに、隣で私を冷たく見つめる兄の視線が尚も私を追い込んで行く。
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