Act.26 Side Ryohei #2

11/33
前へ
/33ページ
次へ
それなのに彼女は俺にやんわりと微笑むと掠れた声で呟いた。 「夢……みたい」 「えっ?」 「だって紺野君は……」 言いかけた時、先生たちが小雪に駆け寄り彼女の様子をチェックする。 「有坂さん、分かりますか?」 「……は……い……」 彼女は確かに返事をしているけれど、その声はとても弱々しくて今にも消えてしまいそうで。 しかし彼女の様子を見終わった先生から残酷な事実を告げられる。 「意識は戻りましたが、やはり現状の妊婦さんの体力で自然分娩は厳しいと思われます。 このまま手術室に移動します」 「先生、あの……彼女も子供も大丈夫ですよね?」 返って来る答えが同じと分かっていても聞かずにいれなかった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

286人が本棚に入れています
本棚に追加