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たまらなく目頭が熱くなった。
俺は……結局小雪のことも、この人のこともうわべしか見て来なかったのだろう。
今の有坂勇太郎を見ていれば痛いくらい分かる。
小雪も、勇太郎も。
本当に心の綺麗な優しい人だ。
こんなにも二人の子供を立派に育てたのは紛れもなく、あの親なのだ。
俺の親父やお袋だって、いつでも優しかった訳じゃない。
時には叱られ、時には自由を奪われることだってあった。
それは全て……我が子の幸せを願う親心だったに違いない。
昔、北見の祖父が言っていた。
自分が父親になった時、初めて親の思いが分かるものだと。
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