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反応のない彼女に優しく語りかける。
俺が生死の境を彷徨っていた時も、きっと彼女はこうして俺にたくさんの言葉を聞かせてくれたはずだ。
あの時、暗い海の底で彷徨い続けていた俺の頼りは彼女の声だけだった。
もしも彼女が兄貴が言うように、少しでも俺の近くにいたいと思ってくれていたのなら。
俺の声を聞き逃すはずはない。
「俺さ……強がりばかり言って来たけど……。
お前と出会った入学式の日に一目ぼれしたんだ。
同じクラスだって分かった時、すごく嬉しかった」
入学式の間、ずっと斜め前に座ってる小雪の背中を凝視してたっけ。
「だから小雪が俺に勉強教えてって言って来た時は、心の中で何回もガッツポーズしてたんだぞ」
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