286人が本棚に入れています
本棚に追加
「出来る限りのことはします。
一応手術の準備に入ります」
そう言って先生は緊急処置室から出て行った。
意識を戻す気配のない小雪を見つめながら、もう一度小さな手をぎゅっと握りしめる。
「小雪……頑張ってくれ……頼むよ……」
祈る想いで彼女とつないだ手に額をつける。
「小雪っ……」
どうか神様……俺はこの先の人生がどんなに不幸であっても構わないから。
どうか小雪と赤ちゃんだけは……。
強く願った時、再び小雪の手がピクリと動く。
今度は気のせいなんかじゃない。
確かに彼女の手は俺の手を力強く握り返したんだ。
最初のコメントを投稿しよう!