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☆prologue☆
ーーーー愛宕大学病院の待合い室は、今日も多くの人でごった返している。
その中にいても、木暮 梛音は周囲からひときわの異彩を放っていた。
180は優に超えるだろう身長に加え、バランスのとれた九頭身、その頂点にある、日本人離れした恐ろしく整った顔と、光に透けて琥珀にみえる髪は、周囲の女子の溜め息をさそうほどに美しい。
病院の支払いを待つ間、梛音はようやく空いた席に腰を下ろす。
が、空きを探す老婦人に気づくや、さっと彼女に席を譲ってしまった。
そして恐縮する女性に、
「もう、番が来たので」と優しい嘘をつくあたり、なかなかである。
見た目良し、中味はもっと良しとなれば、世の男性の嫉妬を一身に受けること間違いなしであろう。
さて、女性に嘘をついた手前、梛音はその場を立ち去ろうとしたが、途中、逆らいがたい誘惑を覚えて足を止めてしまった。いたく懐かしい香りだった。
彼は思わず、その香りの主の腕をつかんだ。
梛音に腕を掴まれた少年(高邑 憐)の第一印象はやけにアンバランスというものだった。
顔だちにはまだ幼さが残っているのに、その表情たるや酷く大人びていて、冴え渡る氷のような月を思わせた。
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