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俺の動きが止まったのを見て、悟ったのだろうか。梛音はどんな美女も羨むような、素晴らしく妖艶な笑顔で、親切にも俺の疑問に答えてくれた。
「そっ、今は正真正銘、ゲイだよ。セックスも専ら男とのみ。今は憐に一途だから、暫くご無沙汰だけどね~。」
茶目っ気たっぷりにウインクする梛音。
その顔がゆっくりと俺に迫って来る。
男性で有りながらも、梛音の肌は透き通るように美しく、長い睫毛が影を作る濡れたような瞳は、他人を惹きつけずには置かなかった。
その瞳にじっと見つめられ、俺は自分がおかしくなりそうで、思わず目を伏せた。すると不意に、頬に触れる何か温かい感触を覚えて、俺は再び視線を戻す。
それは梛音の手だった。
頬が感じられるギリギリの距離に置かれた手から、すっと伸びる梛音の指先が、俺の耳をなぞるようにかすめた。
全身がかぁっと熱くなる。
きっと顔の方も赤くなってるに違いない。
どうかしている。
そう頭では理解しているのに、自分の鼓動が勢い良く走り出すのを、留める術が見つからなかった。
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