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「大丈夫か?」
気が付くと俺は自宅の玄関に座り込み、梛音に後ろから支えられていた。
どうやら梛音に靴を脱がされていたらしい。
ぼんやりとした記憶が蘇ってきた。
俺の様子の変化にいち早く気付いた梛音は、素早く近くの従業員にタクシーを頼み、自分はさっさと荷物を整えて会計を済ませた。
そうしてタクシーを待つ間、体内アルコール濃度を薄める為、俺に水を飲ませ続け、タクシーが来るや否や、俺を抱えて乗り込んだのだった。
タクシーの中でも梛音は、何故か教えた筈のない俺の住所を運転手に伝えたかと思うと、アパートに到着するまで甲斐甲斐しくも俺の手を握り続けてくれていた。
途切れそうになる意識を、俺は何とか繋ぎ合わせながら、梛音に謝罪と礼を述べた。そして食事とタクシーの代金を渡し、梛音には帰ってもらった。
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