イライラ虫

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「聞こえてるよ、だからなに?」 怖いママになってるの?? 「ママ…こわい?」 「は?こわくねーし。」 ママ…ニコニコしてないよ。 ママ…ニコニコしてよう…。 お家に着いて、中に入ると、ママがバタンッて大きな音を出してトイレのドアを閉めた。 やっぱり…怖いママになってる…。 バタンッバタンッて、お家のなかで大きな音がするときは、怖いママ。 ぼく、また痛い事されるのかな…。 なんだか…怖くなってきちゃった… ジャー… ガチャ… ……バタンッ!!! 「ひっ…!」 身体がビクッと飛び上がる。 「お家に誰か来て、ママに意地悪されてるのか、とか聞かれても、答えるなよ。その人は悪い人で、答えるとママと一緒に住めなくなることだって有るんだからな。」 「すめなく…??」 「ママといっしょにいられなくなるってこと!ママとバイバイしなきゃいけなくなるってことだよ!!」 ママとバイバイ?? 「やだ、やだよう、ママとバイバイやだよう!!」 「…ったくいちいち泣くんじゃねぇよ!!めんどくせぇなぁ。だったらこたえんなよ!!!」 「ママ…ニコニコしてよう…」 「あ!?むりむり。ママ今、イライラ虫さんだから。」 イライラ虫さんだから?? 「ママのお腹には今、イライラ虫さんがいます。あなたが泣いたり騒いだりすると、ママのお腹の中のイライラ虫さんは、もっともっとママに意地悪します。わかった?」 「…わかった…」 「ほんとかよ!?ったく、おうむ返しばっかりされてたら、バカにされた気分になるわ。」
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