第1章

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「金は」  男は低い声を出した。 「貴様らを斬ったあとにもらう」  最悪だ。  これは辻斬りの上に強盗だ。  若い手代ののどからかすかな細い悲鳴が洩れる。  辻斬りで強盗の男は刀を振り上げた。 「待てェッ!」  男の背後から声がかけられた。暗い道の彼方から猛烈な勢いで走ってくるものがいる。 早い。  あっという間に辻斬りの後ろまでやってくると、その腰から銀色の光が走った。  ガキンッ!   辻斬りはかろうじてその太刀を受けたが、そのままはねとばされて壁にぶつかった。 手元を見ると、刀が柄から五寸残したところで折れてしまっている。
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