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暁さんは、真剣な顔でまっすぐ私を見ていた。
私はその目を見て、ああ、この人はもう覚悟を決めちゃってるんだなあ、と気が付いた。
ずるいなあ、と思う。
だとしたら、私の答えは一つしかない。
「……前に言わなかった?」
「ああ」
「酒屋でもサラリーマンでも、どっちでもいいわよ。相手が貴方なら」
いつかのセリフと同じことを言い、また暁さんに背中を向けた。
大体、本当にずるい。
離れられないようにしたのは、貴方のくせに。
空になったサーバーを横に置いて、カップをトレーに乗せようとしたら真後ろから手が伸びてきた。
てっきり、コーヒーカップを取るのかと思ったらその手はそのまま私の腰に回り、背後から強く抱きしめられた。
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