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帰りの車の中で、暁さんはひどく不機嫌で……いつもなら触らぬ神に祟りなし、とそっとしておくのだけど。 お母さんの話を聞いた後だからか、なぜだかその横顔が少しふてくされているだけのように思えた。 「仲直り、できた?」 「は……仲直りって。子供じゃあるまいし」 鼻で笑ってそう言った。 窓枠に片腕を預けて、もう片手でハンドルを操作する。 それが、平静にも見えたけれど、ちらりとこちらに目もくれないところが少し、不自然に思えた。 「大人だって、仲直りは必要だと思うけど」 「握手してゴメンナサイしろって?」 「話聞いてあげたの? 一方的にしないで、どうして他でバイトしたりしてるのか、とか」
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