第1章

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   自販機の陰から出てきた人に思わず  「ふえっ…!」  と、変な声を上げてしまった。  「お疲れ様」  と、そんな私の動揺はスルーされていつものように無表情で言われ、ハッとなって慌てて  「お疲れ様です」  と、言い返した。突然自販機の陰から現れた向井部長にもビックリしたが、向井部長が笑ってた?ことの方がビックリで、しばらく部長の顔を呆然と眺めてしまった。  「永瀬、先週の会議の案件できてる?」  と、何事もなかったように、質問された。  「はい…!今、終わらしたとこですけど…」  先週末に行われた会議は、何故か支社の部長や、課長ではなく主任クラスの私たち若手が集められた。  ただ、内容はとても興味深いもので、今までの業務の簡素化や合理化を進めるプレゼンを取締役の皆さまの前でするというものだ。  普段、外部のお客様相手の企画部長の仕事とは思えないが、若手の意見を取り上げていきたいという今回の社内企画には、集められた私達の仕事の意欲をかきたてるものだった。
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