第1章

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 「いいなぁ、先輩ラブラブですね~!!」  「そんなことないよ。そうゆうあやちゃんも彼氏とラブラブじゃない」  いいんですよ、あんなやつ~って言いながら口を尖らすあやちゃんが可愛くて 頭をナデナテしてやった。  美味しい料理に楽しいおしゃべりに3杯目のビールを注文して、化粧室にたった。  席に戻って、新しく注がれたビールを飲もうとしたとき  「先輩…帰りましょう!!!!」  突然、悲痛な叫びに聞こえる声色で、口に含みかけたビールをもどした。  「あやちゃんどうしたの?」  あまりにも顔色が悪く、どこか怒ってるようにもみえて、心配であやちゃんの顔を覗き込んだ。  「どっか具合悪い?お水もらおうか?」  大丈夫です…違うんです…  と、小さな震える声でいうあやちゃんをとりあえず落ち着かそうと思い、カウンターの中の店員さんにお水を頼もうと顔を上げた時だった。  コの字型のカウンターの端っこに座っていた私達の対角線にカップルがみえた。  カップルと思ったのは、雰囲気だろか?お互い寄り添ってあ~ん!と口を開けてるバカ男の顔の緩みをみたからだろか?  あまりの衝撃に冷静にならなきゃと思いながらも、怒りなのか悲しみなのかパニックになりかけたとき  「先輩…」  と、今にも泣き出してしまいそうなあやちゃんの声で、ハッと我に返った。  「あやちゃん、ごめん!せっかく久しぶりの飲み会だったのに、あのバカ男のせいで気を使わしちゃったね。」  無理やり笑顔を貼り付けて、空元気であやちゃんの肩をバシバシたたいた。  「先輩、こんなときに笑わなくていいです!!!山崎さんも許せないけど、あいつも絶対許さないです!」  あいつ?  と、思ってそっと正面をみると、淳也に寄り添ってる彼女はあやちゃんの同期の確か西山さんだ。あやちゃんの同期で人気を二分するくらい入社当初騒がれてた子だったような…。  
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