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スタスタと歩きながら、私の手を引いてくれるあやちゃんの肩が震えてて、それに声をかける余裕もなく、ボーッと空をみながら歩く。
「先輩!先輩!」
心配そうに私の顔を覗き込んだあやちゃんに気づいて、タクシーに乗せられてるんだとわかった。
「ごめんね、あやちゃん」
「先輩が謝ることなんて、何ひとつないです。謝るのは私の方です。私がアイツにあんな言い方したから、先輩…」
たぶん、自分のせいで、私が最後まで淳也に冷静に別れを告げたことへの後悔だろう…。
「あやちゃんのおかげで、感情むき出しにの惨めな女にならなくてすんだよ。西山さんも後輩だから、ひどいこと言わずにすんだし…ねっ?」
これはほんとだ。あやちゃんがいなかったら、淳也と西山さんの2ショットに耐えれたかわからない。あやちゃんが言わなかったら、私が言ってたかもしれない。
いまだに涙が止まらないあやちゃんが
「先輩!!もう泣いていいですよ!今夜はずっと私が先輩の頭、ヨシヨシしますから!!!我慢しないでっ……お願い…っ、だから…」
あやちゃんの涙の懇願に、胸が熱くなった。と同時にウッ…と涙が込み上げてきた。一度でてしまえば、とどまることを知らない涙は次から次へと溢れ、タクシーだからと声を殺して家まで泣き続けた。
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