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「わりぃ遅れた」
歩は校門前で待つを契一と梓の元へと駆けた。
「先に行ってたんじゃないのか?」
「いやぁ…鞄を教室に置いてることを忘れて…」
頭を掻きながら歩は照れ臭そうに笑った。
校門を抜けた三人は蛇行する坂道を下った。
赫奕と燃える夕陽を受けて柑子色に染まった白雲は蜜柑味の綿菓子のような色をして漂いゆっくりと流れていた。
「毎日毎日この坂を登ったり下ったりで立地条件が悪い学校だよなー」
鞄を襷掛けに背負う歩は汗でシャツと紐が張り付く不快感を嫌い右肩を何度も触り紐の位置をずらした。
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