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「嫌なら転校したらどうだ?」
契一は真顔で登下校に不満を漏らす歩に転校を進めると歩は眉を吊り上げて語気を強めた。
「おまえー!」
「冗談だって怒るなよ歩」
困惑した顔を見せる契一に向かいニヤリとした。
「冗談だって俺がそんなことで怒るかよ」
つり上がった眉を元に戻した歩はしてやったと言わんばかりに声高らかに笑った。
「まったく…歩には敵わないよ」
「でも一瞬マジなのかと思ったけどな、ケイは冗談言うときも真顔で本気か嘘かわかんねーもん」
お腹を押さえて笑う歩の隣で契一は小さく笑った。
ふたりの笑顔が止み粛然と帰すと歩の右隣を歩いていた梓の足が止まった。
坂道を下り終え、別れ道を前に足を止めた梓に気付いた歩と契一は立ち止まり振り返った。
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