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「どうした?梓」
「なんだ、梓も疲れたか?」
寂しげな目で沈鬱な顔をしていた梓はクスッと小さく相好を崩した。
「なんだよ?梓」
「何がおかしいってんだよ?」
晴れない気持ちを吹っ切るかのように歩の問いに対して梓は首を横に振り両手を後ろに回しふたりの間を歩いた。
「ふたりはホントに仲がいいんだなって」
きょとんとした顔で立ち止まる契一と歩の数メートル先でくるりと踵を返した。
「何だか羨ましいなぁって…ずっと昔からの仲良しな友達なんて私には居ないからさ…」
熟柿色に輝く夕日を背に立つ梓の顔は逆光でハッキリと確認はできなかったが声の抑揚から悲し気な顔をしていると想像できた。
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