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「冗談だって」
「怒るなよ」
椅子から立ち上がり眉を吊り上げて顰めっ面を見せる梓を笑いながら宥めた。
「お前らな…」
画材で積み重なる机に鉛筆を置いた契一が溜め息を吐くとふたりは静まり返り反省の色を見せた。
「それよりこんなに晴れてるのに部屋に籠ってるなんて」
「なんか勿体無くねーか?」
アイスの棒を咥えながら窓の外を眺める歩は両手を目一杯伸ばしては夏の薫風を身体中で浴びた。
小高い岡の上に建つ校舎の美術室は三階に有りそこから見渡す景色は美しく、屈託の無い顔で眺めた。
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