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「そうだよ!」
「ドコか遊びに行こうよ、テストも終わってもう午前授業なんだよ」
白いカッターシャツの制服が汚れないように前掛けを着けたまま椅子に座る契一を説得する梓を背に歩はグラウンドへと顔を向けた。
青空の下で吹き抜けた乾いた風に流れて何かが聞こえて来た。
野球部がテストの憂さを晴らすかの如く、いつも以上に叫ぶ誼譟の声と金属バットを力一杯振り硬球を打つ顫音を耳に頬杖をついた。
「遊んでる暇なんてない」
「これを完成させなきゃならないんだ」
ムスッとした顔で帆布のキャンバスを二回軽くトントンとノックした契一に対して梓は舌をべーっと出して不満そうな顔を見せた。
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