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「そう言えばもうすぐで夏休みだな」
歩がくるりと踵を返して両肘を窓枠に乗せて凭れた。
「そうだよ!夏休みどうする?」
子供も大人も誰しもが快哉を叫びたくなる“夏休み”と言う魔法のワードを耳にした梓は不機嫌そうな顔から一変ニヤリと相好を崩した。
「海、行きてーなぁ…」
美術室の白い天井を仰ぎ見ながら咥えるアイスの棒を遊ばせて呟いた。
「海か…いいね!」
「お祭りにも行きたい!」
ひとり頬を緩ませて頭のなかで夏休みの計画を思い立てる梓に契一は現実味を帯びた一言を浴びせた。
「夏休みは勉強だろ」
「俺達も来年は受験で遊んでいる暇なんてない」
契一の現実味を帯びた一言に梓は糸が切れた操り人形の様にドサッと椅子に座ると肩を落として文句を項垂れた。
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