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「百年以上ある学校だし、ここですごいもん発掘できるかもな!」
創立百四十周年を迎える歴史ある学校で、美術室も相当長く使用されていたのだと思うと感動するものがある。
「でもあまり荒らすと先生に怒られるからほどほどにしてくれないと困るよ」
弥生はそう言って、キャンバスを眺め始めた。
女の裸体や蝶、男の横顔、どこかの国の紳士など、忠実に再現されている絵もあれば、何だかわからないような、――芸術的と言うのだろう絵もある。
数十分経っただろうか、絵に見とれていると視界から龍が消えている。
気味の悪いところに残して帰ったか、と怒りと自分の集中力への感動を持ちながらで本校舎に戻ろうとすると、教室の隅にしゃがみ込む龍の姿があった。はじめは感動しているのだと思った。
「龍?」
顔を覗き込むと、彼の顔は血の気が引いていた。目は見開いてしまっている。
「お…岡崎…これ…」
絵は、吐き気がするほど美しく、酷かった。
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