6人が本棚に入れています
本棚に追加
長い沈黙がクラス全体に流れた。
「なんだ今の」
その沈黙をまずそうな顔で払ったのは原因ともなる龍だった。
弥生は何故だか彼女の言うことが本当で、恐ろしいものだと感じた。
「面白そうなやつが入ってきた」
そう呟いたのは鈴村琴音。女子の中心という階級に立ち、弥生と同じ、"平凡"な日常に飽きていたひとりの女子生徒だった。
その呟きを聞いたクラスが全員鈴村へ顔を向ける。彼女の囲いたちは「そうだね」「楽しそうだね」と意味不明な発言で彼女の呟きを肯定すると、誰かが違う話題を振った。
何もなかったかのように無理矢理普通を演じる。
それが集団で、人間の『回避』という心理だ。
チャイムが一限目の始まりを知らせ、教論が入ってくると、朝のことに触れる生徒は誰もいなかった。
いや、実際はみんな思っていたはずだ。
気味が悪いと。恐ろしいと。
最初のコメントを投稿しよう!