林檎飴の約束

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「早くても半年後」 「半年……」 「また寂しい思いをさせることになるのはすまないと思う。でも、会いに来る。僕が会いたい。今までだってずっと会いたかった」  蒼介さんらしくない必死な口調に、私は緩みそうになる口元を懸命に引き締めた。 「それじゃ、林檎飴はあげられません」 「美晴……」  蒼介さんの顔が曇った。私を半年苦しめたお返しは、でもこのくらいにしておこう。  私は気持ちのままに頬を緩ませ、泣き笑いの顔になって言う。 「今はね。林檎飴は半年先までお預け」  じわり、と蒼介さんの顔に笑みが広がり始める。 「ありがとう、美晴」  私が差し出した右手を蒼介さんがおずおずと左手を伸ばして握った。 「よかった。本当にありがとう」  久しぶりに触れた彼の大きな手は、愛おしむように私の指を包み込んだ。 「今日はどうしてここに来たの?」 「美晴が毎年ここの祭りを楽しみにしてたから……たぶん、来てるだろうと思ったんだ。でも、もし美晴が一人じゃなかったら……ほかの男と一緒だったら、黙って帰ろうと思ってた」 「蒼介さん……」 「でも、一人じゃなかった。一人じゃないどころか、林檎飴を悲しげに眺めてた。だから……まだ僕のことを覚えてくれてるんじゃないかと思ったんだ」
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