第1章

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「光輝、吐き出して、いますぐ!」 焦って涙ぐむわたしをよそに、光輝からゴクリと何かを飲む音が聞こえる。 チェリーの種しかない! わたしは真っ青になりながら、 光輝の手からチェリータルトを奪い取ろうとしたが、それは光輝の手によって阻まれた。 「光輝ごめんチェリー種とりわすれたみたい」 光輝は気にすることなく、次のタルトを口にする。 「光輝!」 もぐもぐと食べ終えて、にっこり微笑む。 「光輝の誕生日なのに」 消え入りたい心境とはまさにそれだった。 その時、無口な光輝が手で招くので近寄ると、キスをされた。 しかもカスタード味のキス。 「光輝!」 恥ずかしくて叫ぶと、光輝はニヤリと笑って 「ごちそうさま」 そう嬉しそうに言った。 わたしは真っ赤になりながらも、 口をパクパクさせた。 タルトは失敗したけど、光輝の心にはわたしの想いが届いたみたいです。
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