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合図を受けた胴元は慌てたように、脇の従者の背中を押し出す。
何も言われずとも承知なのか、従者は転がるように金網に駆けて行った。
試合の決着がつくまで、けして開けられないはずの金網のドア。
そのカギをもどかしく開けて、従者が中のアレックスに渡したのは、重さ10キロはありそうな大ハンマーだ。
「うおおおおお!」
容赦なく保の頭に向けて振り下ろされたハンマーの一撃は、保に華麗にかわされて、リングの床に沈む。
「……穴あいちゃったよ」
保は呆れたように、ハンマーが残した無残な爪あとを見下ろす。
こんなものを食らったら、たとえ掠めただけでも大ダメージだ。
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