act.1

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合図を受けた胴元は慌てたように、脇の従者の背中を押し出す。 何も言われずとも承知なのか、従者は転がるように金網に駆けて行った。 試合の決着がつくまで、けして開けられないはずの金網のドア。 そのカギをもどかしく開けて、従者が中のアレックスに渡したのは、重さ10キロはありそうな大ハンマーだ。 「うおおおおお!」 容赦なく保の頭に向けて振り下ろされたハンマーの一撃は、保に華麗にかわされて、リングの床に沈む。 「……穴あいちゃったよ」 保は呆れたように、ハンマーが残した無残な爪あとを見下ろす。 こんなものを食らったら、たとえ掠めただけでも大ダメージだ。
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