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秋場高広は高級だがいささか品の良くないスーツを身に着けて、尊大にテーブルの上に足を投げ出して座っていた。
辺りはにぎやかというより、耳を塞ぎたくなるような喧騒と熱気に包まれている。
皆が振り上げる拳の先にあるのは、四角のリングを囲む高い金網。
猛獣を閉じ込めておくためのものだが、今は猛獣の代わりに5人の男たちが閉じ込められていた。
各々がリングコスチュームを身に着け、筋肉隆々の腕を振り回し、自分のパワーと体力を、回りのギャラリーに鼓舞している。
その金髪青い目のマウンテンゴリラのような男が大半の中に、ひとり東洋人が混じっていた。
身長こそ他に遅れを取ってはいないが、体つきは華奢。
ジムで鍛え上げられたいかにもな男たちの中では、いささか頼りなく見える。
それに格好も、Tシャツとジーンズという普通の姿だ。
垂れ目の優しげな顔つきから、このままLAでナンパでもしている方が似合いそうだ。
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