第1章 ~ランキング1位~

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『9000ポイント達成!やったね(^^♪』 無機質な文字が、スマホの画面に現れる。 その文を打ったのは15,6くらいの少女で、少女はすぐに、その下に表示されていた「投稿」というボタンをタップした。 『さっすが!』 『マーサちゃんならいけると思ってたよ!』 『おめでとう!今夜はここのゲーム界で、パーティだね!』 すぐさまその文へ、たくさんの返信が来た。 少女はベッドの上に寝っ転がり、その返信たちを眺める。 フッ、と、笑みがこぼれた。 少女はアバター無双というゲームのユーザーで、毎日10時間以上はこのゲームをプレイしている。 アバター無双がどのようなゲームかというと、自分の外見そっくりなアバターを作り、そのアバターを使って、他のユーザーのアバターたちと戦っていき、戦いに勝つとポイントが貰えるという単純なもの。 このゲームには、そのポイントを競い合うランキングが存在し、少女はこのランキングでも、常に上位に入っている。 上位に入っていると多くの人の目につくことから、少女のユーザー名「マーサ」は、このゲームのユーザー殆どが知っている。 『マーサちゃん、今ランキング1位だよ!?』 『9000ポイントも稼いでるんだから、1位じゃなかったらおかしいねw』 そう、マーサは今ランキング1位。ちなみにこのゲームのポイント平均は 3500で、9000ポイント稼いだマーサは、平均よりもずっと多くポイントを稼いでいることになる。 そもそも、いつも大体平均のポイントを稼いでいる人たちは、学校や仕事等で、 ゲームばかりやっている時間がないのだろう。 その点、マーサはその人たちよりもポイント稼ぎでは有利だ。 マーサには目立ったゲームの技術はないが、それを補えるくらいの時間がある。 最初の方で言った通り、マーサは普通なら学生の年齢のはず。 学生なら青春真っ盛りで、部活、友情、恋愛…。 と、こんなゲームにかけている時間はないだろう。 はっきり言ってしまうと、……マーサは引きこもりなのだ。 青春とはかけ離れた世界にいる。 いや、マーサからしてみれば、このアバター無双の世界が青春なのかもしれない。 それだとしたら、他から見れば悲しい青春だが。 マーサのさっきの投稿に、また新しい返信が来た。 『マーサさん、話したいことがあります』
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