女として覚醒せよ

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「いらっしゃいませ、おはようございます。」 毎朝8時から始まる私の仕事。 「こちら温めますか?」 今まで私はいくつのお弁当を温めてきたんだろう。 そして、これから先いくつのお弁当を温めていくのだろう。 なんてたまに真剣に考えてしまう。 高校2年生の時からずっとコンビニでバイトをしてきた。 卒業して地元に就職するという道もあったけど、とにかく上京したいという無計画な欲望が私は捨てきれなかった。 小さい頃から慣れ親しんだ田舎町も嫌いではなかったけど、中学校の修学旅行で周った東京の街が忘れられなかった。 何か大きな夢があるわけでもなく、ただ大都会で暮らしてみたいから、そんなちっぽけな理由で私は今ここにいる。
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