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雨が降っていた。
ここ帝国ワルハレンは諸国を蹂躙し、類稀な転進の一途を辿っていた。
しかしいくら国が栄えようと、どこの国でも存在する。
ただひたすらに蹂躙され続ける人々。
貧民区画、帝都から離れた地域で、収入源となるものも無い。治安も悪く、近寄る者はいない場所だった。
こんな人が住みるのか疑いたくなる所に、彼はいた。
「母さん!今日は大物が捕れたよ!」
「すごいじゃないレイン!もう時期に夕飯を用意するから妹のカーリと遊んであげててね」
「分かったよ!」
レインは今年で14を迎える。
ここ貧民区画には学校などなく、子供たちは皆その日を生きる為に働いている。
「カーリ、遊ぼー?」
「…やだ」
カーリは2歳下の12歳で、身体が弱い。
この貧民区画では毎日食事にありつける事は無い。
カーリはやや栄養失調気味だ。
「んー、じゃあ何するの?」
「お話し」
「えー、分かったよ」
レインは今日離れの森で狩った兎の話をした。
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