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今朝、ついに私はその悲しさに耐えられなくなって、彼らに当たってしまいました。
「どっか行ってよ!私は独りがいいの!」
違う。違うのです!そんなの嘘なんです!本当は独りはいやなのです!誰かにそばにいて欲しいのです!
けれど、いら立って投げつけた小石のような言葉は、その通りに彼らを追い払いました。
急に静かになりました。薄暗い病室には、私独りだけ。違う。こんなの望んでない。
私は真っ白な布団を引っ被って、ぐずぐずと泣きました。
私に羽があったなら、すぐに彼らを追って、謝りに行けたのに。そうしたらきっと、あの明るい光の中で一緒にたわむれることができただろうに。なのに、現実の私は色の無いベッドにとらわれて、伝えたい思いも届けられない。
「きっと、もう来てくれない」
私は泣いて、泣いて、泣き疲れて、気付いたら眠っていました。
明くる朝、今日も窓の外は新緑がきらきらと輝いて綺麗です。ひるがえって、私がふて寝している病室はあいも変わらず薄暗いです。
私は枕に顔をうずめます。外が眩しくて、それを見ているとなんだか胸が苦しくなるから、何も見たくないのです。
「ちちち」
不意に、声が聞こえました。
私は驚いて飛び起きました。
声のした方へ目を向けると、そこにはなんと昨日追い払った小鳥がいるではありませんか!
もう、来てくれないと思ってた。
けれど、また、来てくれた。また、会えた!
涙のにじんだ顔を丸めた紙くずのようにくしゃりとゆがめて、私は伝えたい気持ちを口にします。それは彼らには分からない言葉だけれど、どうか伝わって欲しい。そんな祈りを乗せて。
【終わり】
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