木漏れ日のサナトリウム

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窓辺で小鳥がお喋りをしています。 青葉が眩しい、透き通った朝の話です。 ここは、静かな森の診療所。私はここの病床で暮らしています。 ここにはよくお見舞いのお客さんが来てくれます。それが彼ら、小鳥です。 彼らは澄んだ青空みたいな綺麗な色をしています。いつも友達連れで訪ねてきて、ちちち、ぴよぴよ、とお喋りをして帰るのです。その楽しそうな話し声が、言葉は分からずとも、私を楽しい気持ちにさせてくれました。 しかし、それはたまに、私を悲しい気持ちにもさせました。「どうして私は仲間に入れないんだろう。」そう思ってしまうからです。 一緒に話したい。聞いてほしい。私の気持ちを。あなたたちが大好きです、という思いを。 一緒に笑い合いたい。お天気みたいにころころと移り変わる他愛のない話を、私もしてみたい。 触れ合いたい。小さな手と手を繋いで寄り添いたい。 けれど、私にはそれは叶いません。だって私は小鳥にはなれないのですから。
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