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第1章ー終わりと始まりー
ここはジェノル島の一つしかない小さな村。
僕はこの島で生まれ、この町でごく普通に育ったごく普通の男の子。
この世界には様々な職業があり、大抵の人はみなモンスターを倒す冒険家になる。
冒険家といっても階級があって、自分の倒した強いモンスターによって名前が変わってくる。
まぁ詳しく説明すると。
冒険家になるにはまず王国に行き、始まりの町と言うなんともナンセンスな名前の町に行き役所で自分の名乗りたい名前を登録する。
そして、その町の中心にある『冒険家の宝玉』と言うこれまたナンセンスな巨大な玉に、自分の血を一滴たらせば終了。
そうすれば自分のレベルや使える魔法、モンスターのレベルや相性、仲間との通信などが可能になる腕輪が宝玉から出てくる。
それをつけた瞬間から、君は晴れてこの世界にいる85%の冒険家に仲間入りできるって仕組み。
あっそうだ!
自己紹介がまだでした!
僕の名前はレオニール。
村では一番の変わり者…ってみんなは言うけど…。
まぁ…理由は単純か…。
僕の家は、代々冒険家だった。
おじぃちゃんもおばぁちゃんも昔はとても有名で、誰もがその名を知っているって言ってた。
でも、僕はこの話を聞くたびに死んだ父ちゃんと母ちゃんのことを思い出すから、冒険家は大っ嫌いである。
でも、大人達はみんな。
いつになったら冒険家になるんだい?
とか
今のうちに鍛えとかないと勇者になれないぞ
とか
父ちゃんと母ちゃんもレオには強くなって欲しいって言ってたよ
などと勝手な事ばかり僕に言ってくる。
誰もが憧れ、ロマンを追い求めるはずの冒険家、しかも、世界にまだ数十人しかいないとされるグランドマスターの異名をもつ家系の血筋の僕が冒険家になりたがらないのは、みんなからするとやはり『変わり者』となるらしい。
正直な話。
僕は『冒険家』と言う職業が嫌いだし憎いし恨めしい。
冒険家は僕から大切な人々を奪って、住む場所も居場所も温もりも、全部奪い去ってしまう。
だから僕は冒険家にはならないし、絶対になりたくない!
そう何度も、何度も心に誓っていた…。
誓っていたのにっ!!
なんで……。
どおぉぉして!!
「こうなっちまうんだよぉーーーーーーーーー!!!!!!」
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