&【THE MOON Ⅱ】

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「なっ?!御陵ッ貴様――」 生徒会専用寮の入り口で鉢合わせしたのはお堅い“風紀委員長”サマ。外出していたのだろう、黒のスーツ姿だった。 「その人は、誰だ」 横抱きにした夏樹を目にして真っ赤になる法の番人。ストイックに固めた髪を掻き毟ろうと伸ばした腕が行き場を失う。 (真面目だねぇホント) 「藍沢ぁ~お疲れさま」 労いの言葉をひとことだけかけて「面倒はごめんだよ」そう呟く。この場をやり過ごそうと自動ドアを潜りエントランスに一歩、足を踏み入れた。 「たけるの彼氏でーす」 「なんだとっ!?」 「藍沢違うから。なつきは黙って」 「じゃあ、カノジョ?」 アルコールで潤む瞳に見上げられながら。 「たける?」 首をかしげる夏樹に苦笑いして溜め息を吐いた。 (あーあ。めんどくせぇガキ) 「そう、俺の彼女~」 「カノジョだよーオレ」 「なっ!?待たんか――」 (明日は『風紀』呼び出し確定かぁ……サボり決定だねぇ) 堅物に向かって無邪気に手を振る夏樹を見下ろした。
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