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「大嫌いよ」
その唇がそう動いた。
聴こえてなどいない。けれど分かる。解ってしまう。
常に向けられ続けている”想い”が、闇に沁み渡る。
「あっ……」
引き寄せられるように一歩。
向けてはいけないはずの一歩を私は踏み出した。
ーードガッ!!
と、横からのアリエナイ衝撃を受けたのはその瞬間だった。
身体が宙に浮く。
静止する世界。
認識したのは赤と白と微笑み。
アスファルトを擦る甲高いブレーキ音。
拡がる闇と、内側を壊す衝撃だけだった。
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