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部屋を見渡し天井を仰いだ。
「これが本当の僕だ」
ごちゃごちゃしたサイドテーブルの上から
黒縁の眼鏡を探し出すと
慣れた手つきでそれをかけてみせる。
「用のない日はいつだって、ここでこうして漫画を読んでる。ダサい眼鏡をかけて、子供みたいにスナック菓子片手にね」
――本当だ。
ベッドの片隅には
お菓子の空き袋が投げ捨てられていた。
「残念だけど――君が憧れるような男じゃない」
初めて見せる
自嘲気な笑み。
これが僕の愛した男の正体――。
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