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まだ片付いていないフロアなどおかまいなく、私はテーブルに突っ伏して眠る事にした。昨日の閉店時間は12時だった。家に着いたのは夜中の1時頃。
私は終電に間に合ったから帰れたものの、帰れない厨房の面々は仮眠室で寝て、今日の仕事をしていた。
やたらと呑む女性のお客様二名で、『ここのバーテンダーさんのお酒は何でも美味い!』と言って閉店時間を過ぎても帰らなかったのだ。
ちらちらとバーテンダーの友部さんを見ながら、くすくすと楽し気に笑っていたのだって気が付いていた。
彼女たちの目的はお酒だけじゃなく、バーテンダーの友部明保でもあるだろう。
しかし、しれっとシェイカーを振る彼から何の連絡も聞けずに、粘って閉店を待っていたのかもしれない。
オーナー兼料理長の坂田さんもさすがに呆れていたけれど、売り上げを見た瞬間、ガッツポーズをしていた。
「眠い」
「俺はもっと眠い」
そう言って私の前に一杯の水を出すのは、昨日の犯人と言っても過言ではない、このレストランアポロのバーテンダー、友部さんだ。
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