運命の再開だといいのに

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「予約入れたの、ちょっとイケメンなんだろ」  その言葉に私は思わず顔を上げた。  友部さんがワイングラスを取り、せっせと磨いている。  ディナーで沢山使う為だろうが、今日はやけに入念だ。  話ている方が捗るかのようにも見える。 「そいつさ、わざわざウチに来て予約入れたんだ。送り出す女の子が好きそうな店だからって言ってたよ。ああヤダヤダ、そういう男!」 「気使いだよ、そいつの」  友部さんはニヤニヤしながらグラスを磨いていた。どうやら同類の匂いがするらしい。 「遊び人じゃ、あの人とは違うかな? それに、ここに来るのって珍しいし」  私は思わず心の声を口にしていた。  いままでずっと、痴漢を撃退してくれた彼を探していたのだ。  上手くいかない日々が続いたせいで、余計に。 「なに、まだ追っかけてたのか? 痴漢撃退男」  友部さんがくすっと笑いながら言う。  私もしまったと口を抑えた。 「あ。いえ、なんでもありませんから!」
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