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私は慌ててバットを持ち上げてキッチンでシルバー磨きをやろうとしたが、もう遅かった。
私のその行動自体が友部さんに『痴漢撃退男を探している』と言っているようなものだったからだろう。
キッチンの戸を開けようとすると、背中にずきんと刺さるような声が聞こえてきた。
「せいぜい、その気使いイケメンがコンちゃんの王子様であるようにって祈ってなよ。まあ、違うだろうけど。こんな所で送別会なんて、きっと羽振りもいいんだろうし。金持ちだな。痴漢撃退するのはもっとこう、飢えた獣だよ」
「誰ですか、それ」
「俺」
訊くんじゃなかった。
オーナーも「バカはそろそろ止めろ」と言って、私達はそれぞれ仕事に戻った。
しかしその夜、私は王子様と再開した。
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