第3章  ひたすら女磨き!

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だからイイ独身男性がどんどん婚約したり結婚したりとなると、真剣に考えなきゃいけない重大問題よ」  父親が中小企業のオーナーで正真正銘お嬢様育ちの紀香は、さすがに「刈り取られる」などというはしたない言葉使いはしない。 「そんなこと、心配する必要ないって。最近は離婚する人も増えているんだから、セカンドバチェラーでマーケットに戻って来る男だっているわけ。 それに、お隣中国は適齢期の男性が女性より四千万人も多いって聞いたわ。四千万人よ! いざとなったら中国のイケメンを探せばいいじゃない」  里子の台詞に笑ってはみたものの、さくらには中国大陸まで花婿探しに出かける覚悟などなく、これはやはり日本だけの統計をベースに心配しなければならない問題だ。 「あのね、何だか私だけ乗り遅れているのかも、って心配なの。 美人の俊子に芦田さんを取られてしまったのは仕方ないとして、大学時代にフツーだった美香まで綺麗になっちゃって安西君をしっかり捕まえて。それにせっかく同窓会でバッタリ出逢ったイケメンの先輩にはやっぱり素敵な奥さんがもういるわけ。 フリーなイイ男なんてもうあまり残っていないんだとしたら、急がなきゃ、ってあせらざるを得ないじゃない」  さくらの解説に、紀香がテーブルの向こうでうなずきながら付け加えた。 「本当にそうよね。結婚なんてもう少し後で考えよう、とか思っているうちにイイ独身男性がいなくなっちゃうとしたら、ちょっと前倒しして考えないと。鷹揚にかまえているヒマはない、っていうことだわ」  ワインを飲んで思索に耽っていた里子が統括してみせた。 「つまりこういうことかもね。統計的には男と女が半分ずついるとして、ま、珍獣みたいな素敵な独身男はそういう男達を虎視眈々と狙う魅力的な女達にどんどん捕まえられて市場から消えて行く。 女性は賢いからみんな綺麗になっていて、元々綺麗な女もノンビリ構えているとババを掴む可能性がある。そういうことだわね」  そうそう、とさくらと紀香は眼を見合わせて里子にうなずく。自分達を綺麗だとのたまうのはオコガマシイが、少なくともブスではないはずだ。 「じゃあ、コトは簡単。女磨きをすればいいわけでしょ? いいこと、男を振り向かせるのは先ずビジュアルよ。
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