第3章  ひたすら女磨き!

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 アスレチックルームには器械がたくさん並び、新会員の紀香とさくらは先ずインストラクターからそれぞれの器械の使い方を教わった。  インストラクターは髪をポニーテールにまとめた大学生そこそこの年齢に見える若い女性だ。あたりを見回すと女性会員ばかりが眼につき、若い男性は見当たらない。  ひょっとして筋肉がムキムキした素敵な男性インストラクターがいて手取り足取りコーチしてくれるのでは、と内心期待していたさくらは失望を隠せない。 「インストラクターが女性、って失敗だったんじゃない?」  さくらの溜息に、隣でバストを大きくする器械と格闘中の紀香が振り向かずに答えた。 「その逆よ。女性インストラクターがいるクラブには男の子達が集まるものよ。まだ時間が早いから女の子の会員が多いみたいだけれど、きっとそのうちに男達がやって来るわ。それまでにせいぜいバストを大きくしておかなくちゃ(!?)」  紀香の言葉に、さくらも同じく両腕を閉じたり開いたりして重い器械を操作する。時おり点検にやって来て腕の動かし方や呼吸法を指導してくれるインストラクターの女の子は服の上からでもそれとわかるほどバストが豊かだ。  城は一日にして成らず、でこうして踏ん張ったところで小さな胸が急に成長するとは思えず、男だったらピチピチのポロを着たインストラクターの胸に先ず視線が行くと思われる。  器械を幾つか試しているうちに、はたして徐々に男性が集まりはじめた。確かに若い男が多く、常連らしくそれぞれお気に入りの器械に取り組み始める。  額に汗を流し腕や腿の筋肉を隆々とさせ黙々と器械と格闘している男の姿はどれもサマになる図だ。  さくらは腹筋を鍛える器械を操作しながら男達を盗み見て、「アスレチック・クラブにこそ男らしい男がいるのだ!」と感動に近い想いに浸った。  やはり男は強さと逞しさ。女が危機に陥っている時に颯爽と現われて彼女を窮地から救う。このスーパーマン的逞しさを備えた男性こそを狙わなくてはいけないはず。  しかし男達はどうやら純粋に身体を鍛えに来ているらしく、視線を泳がせてみてもどの男の視線にも遭遇しない。  固い身体を無理にストレッチして二つ折りにしながら、さくらは自分に言い聞かせた。
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