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午前7時30分
顔を洗っていると、女房が起きてきた。
「おはよう」
「おはよう」
そんな言葉を交わすだけである。
ここ数ヶ月、化粧をしているところを見たことがない。
女は慣れれば、男なんてのは利用価値のある奴隷である。
いや、むしろ邪魔なのである。
この前なんか、パソコンを女房が熱心に使っているのを後ろで見たが
何やら、画面の中で人形のようなものを操作して、会話をしているようだった。
「それなんだ?」ときくと
素っ気なさそうに「アバター」と答えた。
アバターとは自分そっくりな人形を操作し、全国のいろんな人と会話ができるらしい
女房のアバターはえらく若い格好をしていて、男性のアバターに囲まれ有頂天のようだった。
私は少し意地悪な言い方で
「えらくモテてるね」というと
「いや、友達だし」と素っ気なく返された
「楽しいの?」と聞くと
「別に暇だから」と素っ気なく返された
そんなこんなで、私は女房に相手にされない男なのだ。
顔を洗い、着替えを済ませ、朝ごはんを食べる
トースト一枚に牛乳だ
私は背が低いため、10代の頃から毎朝牛乳を飲むのだ。
しかし、別に背が高くなる訳もなく
神様というのは残酷なことをお考えでらっしゃる。
しかし、日課というものをやめられるわけでもないのだ。
準備をすませて、靴を履こうとした時だ。
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