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「おい、こんなところで、何してんだ、危ないからこっちへ来い」
「うるさい!こんな誰も理解してくれない世界なんて、もう懲り懲りなんだよ」
「何言ってるんだ!お前にもお父さんやお母さんがいるだろ!きっと今頃心配してるぞ!」
「お父さんは、俺が3歳の頃に亡くなったよ!母は俺が中学3年の時に、俺を置いて黒光りのギラギラした男とどこかへいってしまった!!」
「まじかぁ~・・・そうなんだ~・・・な、なんかお母さん、きっと恋に飢えてたんだなぁ・・・だから、こう女として見てくれる男性に惹かれちゃったのかなぁ。熱い夜を終わらせたくなかったんだろうなぁ。でも、お前の事も愛していたんだと思うよ?ただ、やっぱり満たされない欲求があって、抱かれてる自分に女を感じちゃって、黒光りの黒光りした悪魔に毎晩毎晩憑りつかれちゃったのかもなぁ。時に危険な事は刺激で美しく見えることもあるからなぁ・・・でも、家族だけが人生じゃないぞ!友人だっているだろ!?」
「友人はいたさ!幼いころから、仲良しのふくし君」
「え?なに?落合の息子??あ、ごめん・・・続けて?」
「とても、仲がよかった・・・家が近所で、夏休みは毎日毎日、一緒に蝉の抜け殻を集めて、網戸にぎっしり、蝉の抜け殻をつけて遊んでたよ。僕らにとって蝉の抜け殻が全てだった。だけどある日、とても綺麗な女の子が、僕らの前に現れた、そう、僕らは彼女にひとめぼれだった、だけど、同時に同じ人を好きになる事を、僕らは互いに怖がっていた。しかし、ある夏の日、ふくしくんは待ち合わせの場所にこなかった。僕は心配で彼の家に行った。インターフォンを押しても出てこなかった、だけど、庭の物置から物音がしたから、行って扉をあけると、そこにはふくしくんとあの子が裸でごそごそとしていた、ふくしくんは、いや~・・・なんか虫が服の中にはいったっていうから、ちょっと確認してたんだよ。と微妙な顔をして僕にいった。なぜ、ふくし君まで裸なのかと、僕は聞かず、取れたの?というと、まぁ、たぶん取れたと思うと小さな声で言った。僕らはその日から、だんだん話さなくなって、遠くでふくしくんが大人になっていくのをただ黙って見ていた。」
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