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「なんだよ!トイレぐらいすぐだろ?どうせ新聞みてるんだろ?仕事に行かなきゃなんないんだよ!がんばってんだよ!
お前みたいに、家でパソコンしながら、ほかの男とイチャイチャしてねーんだよ!
どうせ俺なんか嫌いで、働いてれば別にいいんだろーが!」
」
私は今まで上げたことのない声で扉の向こうの女房に文句をいった。
少し、清々しい気もしたが、涙を流しながら、トイレを我慢しながらなので
とても情けなかっただろう
少し無言が続いた後
「私だって、がんばってる!家の事だってやることはやってる!
だけど、息抜きだって必要なの!
男にはわかんないかもしれないけど、ずっと家に一人でいるのよ!
友達だって、あなたと結婚してこっちにきたからいないの!だからネットでもなんでも誰かと話がしたいし、あなたは帰ってきては疲れただの、しんどそうな顔ばかりで声もかけにくいし、休みの日はずっと眠ってるし、あなただって寝言で、ゆかりちゃんっていったこともあるし!」
「ゆ、ゆかりちゃんは会社の子だよ!最近やめるっていってたからそれで・・・休みの日はお前だってずっとテレビ見ながら、なになに君かっこいいー!とかいって別に楽しんでるだろ?」
「あなた結婚した頃はいろんなところに連れてってくれたのに・・・」
「お前だってどこか行きたいとか言わないだろ?」
「言えるわけないじゃない!疲れてるのはわかってるし、あなたから言って欲しいじゃない・・」
「・・・そうか」
「別に嫌いじゃないし、ただ、一緒にずっといてなんだか昔みたいにするのが、恥ずかしいというか・・・夜もほんとは抱いて欲しいし、だけど・・・女の私からいくのもなんだか・・・」
私はなんだか、涙が止まらず
腹の痛みなどとっくに忘れていた
私は自分が不幸だと思っていたが、それは私の勘違いだったのかもしれない
不幸だったのは、私ではなく
私たちだったのだ。
私は、小さな声で扉の向こうの女房に
「愛してる?・・・」と聞くと
「愛してる」と小さな声が返ってきた
私はその一言がずっと聞きたかったのかもしれない
「・・・」
「あいしてる」
「・・・・?」
しかし、何度も女房は続けて愛してると言ってくるのだ
よっぽどあいつも言いたかったんだなと思い
私は少し大きな声で
「あいしてるよ!!!」と言った。
すると、蹲った私を見て
女房は言った。
「いや、あいてるよって言ったの」
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