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「先生~先生~聞いてくだせ~」
「おお、こりゃ、鯛吉じゃねーかどうしたんでぇ、顔に鱗なんかつけて」
「いやあ、先生にぜひに、必勝のお願いにきまして」
「おお、競馬か?お前さんが賭け事なんて珍しいこった」
「いえいえ、そうじゃねーんです。なんか春がきたらしいんですよ春が」
「春?なにいってんだいお前は・・・皐月賞はもう終わっただろ?イスラボニータが勝って、俺は負けちまったんだよ。かーちゃんにめちゃくちゃ怒られたわ」
「いえいえ、競馬じゃねぇーんです。なんというか、一目ぼれってのになっちまったみたいで、胸がこう痛くて痛くてたまらんわけでして、でもそれがなんだか心地よい感じもしましてね。こんな病ははじめてで、先生になんとかしてもらおうとおもいやして」
「ほおお、こりゃ珍しい事もあるもんだ。あほうでも恋煩いになるもんなんだな。それで、どうしてほしいんだい?」
「この胸の痛みをどうにかこうにか取ってもらいたくて、なんか薬かなんかあればもらおうと思いまして」
「そうだなぁ、そりゃおめーそんな薬はねぇよ」
「えええええ、ねぇ~んですか?そんなに偉い先生でも持ってないんですか?これからずっとこの胸がずきずきとする痛みに耐えて、そのうち爆発して死んじまうってことですかえ?!」
「いやいや、誰にそんなこと言われたかはしらねぇが、爆発はしないから」
「へぇぇ、じゃ~どんどん心臓が圧縮されてそのうち、塵になって消えてく方ですね・・・」
「めんどくせーな・・・とりあえず、死ぬわけじゃないから安心しな」
「ほぉ・・よかった」
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