黒い動画

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「フフフフフフ」 嬉しそうにその子は笑いだし、部屋の中をスキップで回り始めた。 しばらくして、 「ただいま。」 「おかえりー。」 その声は紛れもなくオレの声と母の声だった。 オレの声が聞こえるとその子は不気味な笑み浮かべてベットの下の隙間に潜り込んだ。 同時にオレが部屋に入る。 ザーーーー(砂嵐) Ⅱ停止 動画はオレが部屋に入ったところで砂嵐になり終わっていた。 部屋に入ったときのに感じた違和感はこれが原因だった。 そして気になったのはベットの下。 明らかにあの子がいる。 だってオレは部屋に来てから一度も部屋の外に出てない。 誰かが部屋を出ていこうにも隙がないのだから。 どうしよ。 これ確認しないとヤバイよね。 今確認しないとあとが怖い気がする。 オレは怖かったが決心して、片膝を床につきゆっくりとベットの下を覗きこんだ。 「まなぶ!ご飯食べなさい!」 もう少しで見えるというあたりで母の声が聞こえ、その声に体がビクついた。 「脅かさないでくれよ・・・。今行くよ!」 その声で少し怖さが和らいだオレは、なんでもこいやみたいな気持ちでベットの下を覗いた。 だがそこには、キーホルダーしか落ちていなかった。 ほっとした気持ちでオレは一息つき、キーホルダーを机に置きご飯を食べに下に降りた。 その夜オレは怖かったので部屋を少し明るくしてお気に入りの曲を聞きながら眠りについた。 そしてこの夜も不思議な夢を見た。 また同じ小学校の校門にオレが立っていた。 でも昨日と違うところがある。 あの動画で見た女の子が赤い靴を履き赤いランドセルを背負って入り口の前でスキップしながら嬉しそうにはしゃいでいるのだ。 そのランドセルには、白いクマのキーホルダーがついていた。 ふと彼女は立ち止まりオレを見つめた。 不気味な笑み浮かべて。
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