第1話:僕と未知との遭遇

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「信じてないみたいですね……。よろしい、ならば見せて魅せて差し上げましょう。私の特異なる能力(チカラ)を」  厨二臭漂う台詞を吐くエリーゼ。  そんなエリーゼに、大分訝しげな視線を送る誠都。  だが、彼女はそんな視線を意にも介さず不敵な微笑を浮かべながら、右手の握り拳をすっと自身の胸の前に突き出すと、その拳を開いた。 「これが──私の神たる所以です」  言い終わると同時、彼女の手の平から、まるで太陽を何百倍以上にも薄めたような淡い光が放たれはじめる。  これまた唐突な事態に呆然とする誠都だが、驚愕の中にもその光には、不思議とどこか暖かいものが感じられた。  穏やかな輝きを帯びる光は、誠都とエリーゼの周囲を、ほんのわずかな範囲だが優しく照らしていく。  すると、ふいに、暖かな光を放ち続けるその両の手の平から、“何か”のシルエットが浮かびあがってきた。 「……え!?」  徐々にその“何か”の輪郭がはっきりとし、立体感をも視認できるようにまでなったところで、誠都は驚きの声をあげた。
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