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エリーゼの掌中から出てきたそれは──
「ウソだろ……? なんでメロンパンがここに……?」
──さっき無くなったはずの、メロンパン。
実は誠都の好物でもあるそのパンが、エリーゼの手の平に乗っている。パッケージも何もかも、先ほど誠都が買った商品が未開封の状態で完全に再現されていたのだ。
誠都は、エリーゼが新品を用意したのではないかと考えたが──当然その考えは一瞬で消えた。
彼女は、手の平から光を放ちながらずっと誠都の目の前に居たし、誠都も(半分呆然としながらだが)その瞬間を目撃している。だから、新品を用意しようにも、誠都の目を盗んで店内まで行くことは、まず不可能。
それに、もし仮に万が一行けたとしても、商品を買う金は彼女にはないだろう。そもそも手持ちがあるなら、こんな所で行き倒れたりはしていないからだ。
それらをふまえて考えると。『何かを創り出した』と思われるこの現象は、常識ではありえないことだった。
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