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「……エリーゼ、お前、『創造』の能力を持ってるんだよな?」
疑問を解決すべく、誠都はまずエリーゼに、疑問を解き明かす前提となる質問を二、三することにした。
「ええ、だから先ほどからそう言ってますでしょう」
「悪いな。とりあえずもうひとつ聞きたい。その『創造』って、“どんなモノでも”造れるのか?」
「まぁ……この世界に存在するモノは、基本的に何でも創造できますね」
「なるほど……。じゃあなんで────行き倒れたりなんかしてたんだ?」
「…………?」
いまいち質問の意味が分かってないのか、首を傾げたエリーゼ。
暗闇にも馴れはじめている誠都が視認したその仕草は、誠都的にはちょっと萌えるものだったが、それは今はおいておく。
「そんな能力があるんなら、食べ物でも造り出せばあんな風にぶっ倒れるようなこともなかったんじゃないか?」
何故彼女がそれをせず行き倒れていたのかは分からなかったが、もし誠都が彼女の立場なら間違いなくその手を実行しているだろうと思ったのだ。
まあ、もし仮に万が一、メロンパンマジックがただの手品だったのだとしても、誠都の中でのエリーゼの人物像が「ただの虚言癖持ちな路上で行き倒れて死にかけるほどのドジっ娘」になるだけだ。
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